対談の音声をもとに、面白い対談記事を書きたいです。
ポイントを教えてください。
まず、音声データを文字化して、文字起こし原稿を作成しましょう。
文字起こし原稿をもとに、対談記事を作成するとよいでしょう。
対談記事は、まず、要旨が伝わるよう構成をします。会話の雰囲気と話者の個性を生かしつつ、読みやすく整えて対談記事にします。
今回は、対談を録音し、その音声データをもとに文字起こし原稿を作成して、面白く魅力的な対談記事を書くポイントをご説明いたします。
対談は、文字起こし原稿を作成することで、内容を俯瞰しやすくなります。本やブログの執筆にお役立てください。
目次
対談の特徴
対談とは、2人が向かい合って話し合うことです。デジタル大辞泉にも次の記載があります。[注1]
【対談/デジタル大辞泉】
たいだん【対談】
向かい合って話し合うこと。また、ある事柄について二人で話し合うこと。対話。
対談では、両者はある問題や事柄をテーマについて、対等に話し合います。
インタビューは、聞き手と話し手に分かれて進みますが、対談は対等なんですね。
インタビューと対談は異なります。インタビューでは聞き手と話し手という役割で話しが進みますが、対談では2人が対等に話し合います。
昨今ではオンラインでの対談も増えています。インタビューと並んで、文字起こしの需要が多いスタイルです。対談を文字起こしして文章にする場合には、対談記事ならではの特徴があります。
[注1]デジタル大辞泉
話者の特定が必要
対談は1対1の2人で行います。話者が複数の場合、音声データを聞き取るときに、話者の特定が必要です。
対談は、2人とはいえ、同性で同年代であったり、声が似ていたりすると、どちらが話しているのか分からなくなることもあります。このため、聞き取るときに対策が必要です。
対策としておすすめなのが「話者メモを作成する」ことです。話者メモでは、名乗っている箇所と時間、特徴をメモします。
【例:話者メモ】
名前 | 特定できるタイム
(名乗っている箇所など) | 特徴 |
花村さん | 00:01:30 | ・女性
・標準語 ・20代? ・早口 |
栗原さん | 00:02:10 | ・女性
・東北なまりが少しある ・20代? ・やや小声 |
「話者の特定」は、複数(2人〜)で対話する音源の特徴です。対談の場合も、話者をしっかり特定して、どちらの発言かを間違えて記事にしてしまうことのないようにしましょう。
話者の意図を組む力が大切
対談では、意外な話しの展開があり、盛り上がって面白い内容になるメリットがあります。
一方で、話しがあちこちに飛んでしまって内容がわからない場合もあります。
そうです。
そこで、文字起こしライターは、音源を聞く場合に、話者の意図を理解しながら聞く必要があります。
話しが脱線しても、伝えるべき事柄の骨子を見失わないようにしましょう。
対談の音声データを聞き取るときには、話者の伝えようとすることを理解しましょう。話者の意図を理解していれば、適宜補足を入れたり、構成したりして、雰囲気を残しながらも話者の意図が伝わる記事を作成できます。
余談ですが、インタビューでは、聞き手が質問を用意して進めるため、思わぬ方向に進むことはあまりありません。一方、対談は、2人のその場の空気で、話しが順序正しく進まなかったり、話しが脱線したりすることはよくあります。
対談の文字起こしでは、話者の意図を汲み、伝えるべき内容を整理して、原稿作成する力が大切です。
対談記事の書き方4つのポイント【面白い記事を作成する】
読み手が面白い(興味深い・魅力的)と感じる対談記事は、次の3点が欠かせません。
- 読みやすく整っている
- 伝えたいことがわかる
- 会話の雰囲気と話者の個性が伝わる
そのためには、これからご紹介する4つのポイントが重要です。
ポイント1. ケバ取りと整文で整える
ポイント2. 発言量のバランスを取る
ポイント3. 対談の要旨がわかる構成をする
ポイント4. 会話の雰囲気と話者の個性を生かす
それでは、対談音声を文字に起こし、面白い対談記事を作成する4つのポイントをご紹介いたします。
ポイント1. ケバ取りと整文で整える
対談音声は、全てを文字に起こしたそのままの状態では、記事として成り立ちません。
不要な相づちなどをケバ取りし、読みやすく整える必要があります。
【ケバ取り】
対談では、「ええ」「ああ」などの意味のない言葉が発せられます。ケバ取りでは、このような意味のない言葉や会話の趣旨に関係ない言葉をきれいに取り去ります。
- 意味のない言葉<
- 語尾伸ばし
- 言い淀み
- 言い間違い
- 独り言
- 多すぎる口癖
上記はケバとして削除・修正します。
【整文】
整文では、倒置法を通常の語順に修正したり、話し言葉を書き言葉に修正したりと、正しく読みやすい状態に整えます。ただし、いくら正しい文章でも、対談の雰囲気や話者の個性が伝わらなければ面白みに欠けます。
例文で確認してみましょう。
【例文】
音声:マジ、そういうの、ださいと思うんすよね。
↓整文
整文1:真面目に、そのようなことは、野暮ったいと思います。 (整えすぎ)
整文2:本当に、そういうの、ださいと思うんですよ。 (適度な整文)
整文1と2では、ずいぶん雰囲気が異なります。
整えすぎの整文1では、話者の個性が完全に消えてしまっています。これでは、いくら文章として正しくても面白みに欠けてしまいます。そこで、整文2です。カジュアル過ぎる部分は修正し、適度に人間味のある部分を残して温かみがある雰囲気にしています。
会話の雰囲気と話者の持ち味を理解し、良い部分が伝わるように文章を作成するのがポイントです。
ケバ取りと整文について、詳しく解説した記事があります。こちらもご覧ください↓
ポイント2. 発言量のバランスを取る
対談を聞いていて気になったのですが、一方の話す量だけが多いことがあります。
そうです。
対話は、2人の会話で成り立っていますが、話す量のバランスが不均衡なこともあります。
例えば、対談の片方が聞き上手な方だと、聞き役に徹して発話が少ないこともあります。また、話題によっては、どうしても一方だけが話しの中心になってしまうこともあります。
このような場合、本題に沿った発話を残しながら、両者の発話のバランスを取りましょう。一方の発話が極端に少なくならないように気をつけます。
ポイント3. 対談の要旨が分かる構成をする
対談の音声は、すべての言葉を文字に起こしても、そのまま記事にすることはできません。会話は、自由にあちこちに脱線することもあるためです。
そこで、伝えるべき部分を見極め、構成して整える作業が必要です。
【基本の流れ】
- 文字起こし原稿の作成
- 対談記事の作成
上記2の、対談記事作成の段階で、対談の要旨が分かるように構成をします。もしも会話が脱線しがちであれば、本題がわかるよう、構成の段階で工夫をします。
それでは、どのように構成すればよいか、ですが、次の点に気をつけましょう。
【要旨がわかる構成にするために】
- 同じ話題はまとめて書く
- 話題を時系列に進める(古い話しから新しい話しに進める)
- 伝えたい内容にフォーカスする
つまり、できるだけシンプルに骨子を組みます。
伝えたい内容と関係ない話題は思い切って減らしてもよいでしょう。話しが脱線しがちであれば、脱線部分をどかして、まずはメインの話題だけをスムーズに読めるようまとめます。
ポイント4. 会話の雰囲気と話者の個性を生かす
対談記事を魅力的に仕上げるために大切なのが、次の要素です。
- 会話の雰囲気
- 話者の個性
読みやすく整えるのも大切ですが、整え過ぎでは、せっかくの対談記事がつまらないものになってしまいます。残したほうがよい部分、整える部分の判断は、書き手のセンスにかかっています。
話者の個性を理解し、会話の雰囲気を生かしながら、伝えるべき部分を上手に読み手に届けましょう。
面白い対談記事を作成しよう
対談記事の作成は、強めの整文を行うため、ライターのセンスの見せどころです。
対談の雰囲気や話者の個性を残しながら、読みやすく整え、内容が伝わる原稿を作成する。このためには、話者の意図をすっかり理解し、必要な言葉や情報を取捨選択し、構成して伝える力が必要です。