文字起こし(テープ起こし)をするとき、イヤホンヘッドホンが必須なのはわかります。

でも、種類が多すぎてどれを選べばよいのかわかりません!

確かに。

イヤホンもヘッドホンも、安価でシンプルなものから高価で高機能なものまでさまざまです。

文字起こしに使うなら、用途に合わせて使い分けるのが正解です。

「これ一つでやっていける!」というイヤホン・ヘッドホンはありません。

聞き取りに最適なのは、重くても高性能なモニターヘッドホンです。しかし、長時間の作業に適しているのは軽いイヤホンです。これらをシーンに合わせて使い分けましょう。

今回は、文字起こしに使うイヤホン・ヘッドホンについて、選び方のポイントを4つご紹介します。文字起こしに適さないイヤホン・ヘッドホンについてもご覧ください。

【文字起こし】イヤホン・ヘッドホンの4つの選び方

文字起こしに使うイヤホンとヘッドホンの4つの選び方

イヤホン・ヘッドホン選びは、文字起こしの質を左右します。シーンに合わせて、いくつか用意し、使い分けるのがよいでしょう。

  • 集中して聞き取るとき:密閉型モニターヘッドホン(スタジオヘッドホン)
  • 長時間の作業:軽いカナル型イヤホン

上記のように選んで使い分けられると、作業を快適に効率よく行えます。

「聞き取りにくいときはこれ」

「長時間の作業はこれ」

そんなふうに、お気に入りをいくつか準備しましょう。

選び方1. 集中して聞き取るとき: モニターヘッドホン

文字起こし必携モニターヘッドホン

文字起こしライターの方に必携なのがモニターヘッドホンです。

モニターヘッドホンは、音声を忠実に再現してくれます。低音から高音まで平均して聞けるようになっているため、音声の聞き取りに適しています。文字起こしを仕事にされるなら、このモニターヘッドホンを1つは持っておきましょう。

普通のヘッドホンとモニターヘッドホンの違いは、その目的です。

普通のヘッドホン:音楽鑑賞用に、特定の音域を強調する調整がされている

モニターヘッドホン:音を聞き分けるために全音域がフラットに調整されている

音声が聞き取りにくいときや、とくに「この部分をしっかり聞きたい」というときには、密閉型のモニターヘッドホンを使用しましょう。密閉型については後述いたします。

ただし、モニターヘッドホンを長時間使用すると、「重い」「蒸れる」「聞き疲れする」という問題もあります。文字起こしの作業時間すべてにモニターヘッドホンを使用するのは無理があるため、集中して聞く必要があるときや、聞き直し校正をするときに使用するのがよいでしょう。

「モニターヘッドホン 文字起こし」で検索すると、文字起こし用ヘッドホンの定番ともいえる商品が見つかるはずです。密閉型モニターヘッドホンなら、文字起こしの最強の相棒になってくれるでしょう。

選び方2. 細かい音声を聞き取るとき: 密閉型ヘッドホン

密閉型ヘッドホンと開放型ヘッドホン

ヘッドホンには、「密閉型」「開放型」の2タイプがあります。

密閉型の特徴は、高い遮音性です。開放型の特徴は、音が抜けて広がりを感じられることです。文字起こしには、遮音性が高い密閉型を使います。

【密閉型ヘッドホンと開放型ヘッドホン】

 長所短所向いている用途
密閉型 ・遮音性が高い

・細かい音を聞き取りやすい

・閉塞感がある

・通気性が悪い

文字起こし

・屋外・屋内での使用

・細かい音の聞き取り

 

開放型  

・軽く圧迫感がない

・通気性に優れる

 

・音漏れする

・周辺のノイズが入る

 

・屋内での使用

 

 

密閉型ヘッドホンは、外部の音を遮断し、音も漏れにくいため、細かい音声の聞き取りに適しています。文字起こしに向いているのは密閉型です。

これに対し、開放型ヘッドホンは、音の抜けがあり、音の広がりを感じられますが、細かい音声の聞き取りには不向きといえます。音楽鑑賞に向いています。

また、密閉型ヘッドホンは、耳をすっかり覆う「オーバーイヤー型」を選びましょう。音質もよく耳が痛くなりにくいです。

イヤーパッドを耳に乗せる「オンイヤー型」は、小型で軽量ですが、耳が痛くなる可能性があるでしょう。

選び方3. 長時間の作業: カナル型イヤホン

カナル型イヤホンは長時間の作業に使う

テープ起こしにはイヤホンはあまり向かないかもしれません。細かい音声まで聞き取るためには、より遮音性が高いヘッドホンが必要です。

しかし、長時間、音声を聞き続けるときには、軽量のイヤホンのほうが快適に作業できます。

次の2つの条件が揃ったら、イヤホンを使って作業するとよいでしょう。

  • 聞き取りやすいクリアな音声データである
  • 静かな環境で文字起こしの作業ができる

イヤホンの中では、カナル型イヤホンが、遮音性が高くおすすめです。カナル型イヤホンは、耳栓のように耳の中にフィットさせて使うため、イヤホンとしてはクリアに音声を聞き取れます。

イヤホンを使用するなら、騒音のない静かな部屋で作業しましょう。

選び方4. 装着感で選ぶ: 適度なフィット感を重視

どんなに評判がよいイヤホンやヘッドホンでも、売り場で試着して装着感を確認しましょう。

このときに次の点をチェックします。

  • 重すぎないか
  • 圧迫が強くないか
  • 痛い部分がないか
  • サイズは合うか(ゆるすぎもよくない)

適度にフィットして負担にならないものを選びましょう。耳の痛みや疲労を感じにくく、長時間快適に使用できるのが理想です。

また、心地よく作業するためにはデザインも大切です。機能にプラスして、気に入ったデザインを探してみるのも楽しいでしょう。

文字起こしに適さないイヤホン・ヘッドホン

ヘッドホン

音楽鑑賞用のイヤホンやヘッドホンは、特定の音域を強調して聴き心地がよくなるよう調整されています。「重低音が響く!」「ダイナミックな低音域と繊細な高音域!」などと説明されている商品は避けましょう。

文字起こしをスムーズに行なうためには、全音域を均一に聞けることが重要です。

聞き取りのための工夫

音声の聞き取りをスムーズに行なうためには、イヤホンやヘッドホンの性能に加え、さまざまな配慮が必要です。次の工夫をしてみましょう。

  • クリアな音声データのために録音に気をつける
  • 音声編集ソフトを使う

録音の段階で気をつける

クリアな音声で録音できていれば、軽いイヤホンを使用して文字起こしできます。例えば、次の点に注意するだけでもずいぶん差が出るはずです。

  • 録音機器は、運転音がする機器類の遠くに置く
  • 録音機器は、発話者の近くに置く
  • 窓を閉めて周辺の騒音が入らないようにする

音声編集ソフトを使用する

音声編集ソフトを使用すれば、小声を大きく加工したり、ノイズを低減したりできます。聞き取りが難しいと、音量を大きくしてしまいがちですが、耳のためにはよくありません。

音声編集ソフトも使用して、聞き取りやすくする工夫をしましょう。

音声編集ソフトや、録音時に配慮することについて、詳しくご説明している記事があります。こちらもご覧ください。

【注意】耳を大切にするため音量は控えめに!

文字起こしでは、イヤホンやヘッドホンをつけて長時間作業します。難聴や耳の不調から耳を守るため、音量はできるだけ控えめにしましょう。

イヤホン・ヘッドホンを使用するときには、音量を抑えるために次の配慮をしましょう。

  • 周辺が静かな場所で作業する
  • 音質が悪いときは、休憩して耳を休めながら作業する

まず、音量を上げなくても聞き取れるよう、静かな場所で作業しましょう。また、音質が悪いときには、時間をかけて作業することになります。その場合は、休憩しながら行いましょう。

長時間、音量を上げて聞き続けることのないよう、くれぐれも気をつけましょう。

イヤホンとヘッドホンはシーンに合わせて使い分ける

文字起こしに使うイヤホン・ヘッドホンは、シーンに合わせて複数揃え、使い分けましょう。

「集中して聞き取るならモニターヘッドホン」

「長時間、静かな部屋で作業するときにはカナル型イヤホン」

そんなふうに、シーンや自分に合った使い方を見つけてみてください。用途に適したイヤホンやヘッドホンは、文字起こしの力強い相棒となることでしょう。