テープ起こしで聞き取れない箇所があります。
どうしたらいいですか?
聞き取れない箇所は、●などの記号を入れ、タイムコードも記入しましょう。
テープ起こし(文字起こし)は、音声データを聴き取って文字に起こす仕事です。文字起こしともいいます。
テープ起こしをしていて、聞き取れないときの3つの対処法と、聞き取るためにできること、録音時の配慮などをお伝えいたします。
目次
テープ起こしで聞き取れない箇所3つの対処法
テープ起こしをしていて、録音音声が聞き取れないことはよくあります。
周辺の雑音、会話のかぶり、録音環境が悪いなど、聞き取れない原因はさまざまです。常にクリアな音声データであるとは限らないのです。
それでは、音声データが聞き取れないとき、どのように対処したらよいかをご説明します。
対処法1. 記号を記入する:●(くろまる)〓(げた)
単語が聞き取れない場合には、その部分に●(くろまる)や〓(げた)などの記号を記入します。
【例文:聞き取れないとき】
このような変化は●起きているようです。
「文字数にかかわらず●1個」など、仕様で確認しておきましょう。
対処法2. タイムコードを記入する
●などの記号処理をしたら、さらに、記号の後ろにタイムコード(00:00:00)を記入します。
【例文:聞き取れないとき】
古典ギリシャ語、ロシア語、ラテン語、●●(00:15:03)などがあります。
時間を記入しておくことで、聞き取れない部分を音声データで確認するとき、どの部分にあるのかすぐにわかります。
利便性を考えると、記号だけではなく、タイムコードも記入することが望ましいでしょう。
対処法3.聴取不能の記入
単語が聞き取れない場合には●(くろまる)などを記入して対応しますが、長い文章が聞き取れない場合には、(00:02:45〜00:15:03 聴取不能)のように記入します。
(聴取不能)の箇所には、タイムの範囲も記入して、スムーズに確認できるようにしておきます。
【例文:聞き取れない部分】
行き先の要望を伝える表現を使って話していました。
(00:10:07〜00:18:25聴取不能)
それでこの局面をなんとか打開できました。
タイムコードについて解説した記事もご覧ください。↓
【NGな対応】推測で文章化してはいけない
録音音声が聞き取れなかったとき、くれぐれも、あやふやな推測で文字化してはいけません。
特に、裁判記録など、素起こし(逐語起こし)が指定される厳密さが必要な資料は注意してください。
わかりました。推測で補うのはやめ、誠実に聞き取り不能の処理を行います。
ただし、整文という文字の起こし方の場合、音声が不明瞭でも、前後の意味から明らかにその言葉だとわかる場合のみ、補完することはあります。
聞き取るためにできる3つのこと
音声データが聞き取りにくいとき、それでも聞き取るためにできる努力をしてみましょう。
できること1. 音声編集ソフトを使用する
音声編集ソフトを使って騒音を低減できることもあります。例えば、Express Scribe の場合、次の操作でノイズを低減できます。
- ファイル→音声の特殊処理→バックグラウンドのノイズ低減
ほかにも、小声を大きく加工できるソフトや、音質を加工できるソフトもあります。ただし、騒音を低減するとき、同時に発話者の音声も聞こえにくくなることがあります。ソフトにも限界はありますが、少しでも聞き取るためにできることは試してみましょう。
できること2. 時間を置いて聞き直す
「聞こえない…」と煮詰まっているよりは、翌日聞き直してみることもおすすめです。
意外にも、聞き取れないと思っていた言葉が、時間を置いてみたら聞き取れることもあります。
できること3. 扱っているテーマの専門用語を確認しておく
また、音声データで扱っているテーマに関する書籍に目をとおして聞き直してみるのもよいでしょう。用語がわかっていると聞き取れることもあります。
知らない言葉は聞き取れないものです。普段から語彙力を磨いておきましょう。
テープ起こしで聞き取れない状況とは
何が原因で聞き取れないのでしょう?
聞き取れないといっても、さまざまな状況が考えられます。
おもに次の3つに分けられます。
- 発話者の状態
- 周囲の環境
- 録音状態
詳しく見ていきましょう。
発話者に原因がある場合
発話者によっては、その場ではしっかりお話いただいていても、録音したときに聞き取りにくくなってしまうことはあります。
- 複数の発言がかぶってしまっている
- 発話者の方言が独特である
- 発話者の声が控えめである
- 発話者が非常に早口である
この場合、なかなか対策は難しいのですが、録音することを事前にお伝えすることで、意識していただくことはできるかもしれません。
周囲の環境に原因がある場合
周囲の環境が原因で聞き取りにくくなってしまうこともあります。
- エアコン、機器類の動作音
- 話し声、笑い声
- 風の音
- 室内で声が反響している
録音機器は、動作音が大きい機器類から離して設置しましょう。窓を閉めて外の音を遮断するなどの対策も有効です。
録音状態に原因がある場合
音声データが聞き取りにくいのは、録音状態に原因がある場合も多いです。
- 録音機器の性能が理想的ではない(スマホなど)
- マイクが遠い
- マイクで音声が割れている
- 録音機器の設定ミス
- 録音中に録音機材に触れてしまう
録音するとき、できるだけクリアに録音する配慮を忘れないようにしましょう。
録音時に配慮すること
どうしても聞き取れない音声には記号とタイムスタンプで対応します。
でも、聞き取りやすい音声データにするために配慮することはありますか?
できることなら、クリアに聞き取れる音声データであることが理想です。
そのため、録音時には次のことに気を配りましょう。
- 録音機器(ICレコーダーなど)を発話者の近くに設置する
- 録音中、ICレコーダーに触れない
- 録音機器をエアコンなどの運転音から遠ざけて設置する
- 窓を閉める
- 周辺が静かな場所を選ぶ
もしも、どうしても周辺の音が気になる場所で録音しなければならない場合には、発話者に大きめの声でお話いただくようお願いすることもあります。
上記は当たり前のことに感じるかもしれませんが、いざ、インタビューの場になると、さまざまな対応でうっかりしてしまうこともあります。できるだけクリアな音声を録音するための気配りを忘れないようにしましょう。
聞き取れないときも根気よく取り組む
テープ起こしをしていて、聞き取れない箇所はあります。音声の状態が悪く数分にわたって聞き取れないこともあるかもしれません。
聞き取り不能処理があまりにも多い原稿では、納品するのが不安になるかもしれません。そんなときも、タイムコードを記入して、確認しやすい文章データを納品してきましょう。誠実に根気よく取り組むことが大切です。