文字起こしは時間がかかるイメージがあります。
インタビューや会議の音声データを、文字に起こしたら、どのくらい時間がかかりますか?
音声の時間の5倍はかかるでしょう。
それも、熟練の人が状態のよい音声を聞き取った場合です。
文字起こしにかかる時間の目安は、音声の時間の5倍からです。初心者の方なら、10〜15倍かかってもおかしくないでしょう。1時間の音声を文字データとして完成させるのに15時間もかかるのは大変です。
そこでこちらでは、初心者の方のために、文字起こしをスピードアップする7つの秘訣をご紹介いたします。
文字起こしにかかる時間の目安:音声の5倍〜
文字起こし(テープ起こし)にかかる時間は、熟練の人で、音声の5倍が目安とされています。つまり、1時間の音声データを文字に起こして原稿を完成させるためには、最低5時間かかると考えられるでしょう。
1時間の音声を文字起こしするために5時間〜15時間かかる!
音声の5倍というのは、熟練の人が録音状態が良い音声データを文字に起こしたときにかかる時間の目安です。
初心者の場合や、録音状態が悪い音声データを文字に起こした場合は、音声の10〜15倍の時間がかかることもあります。1時間の会議やインタビューを原稿にするために10〜15時間もかかるということです。
「音声を聞き取って文字にするだけだからすぐできそう」などと思ってしまいそうですが、そういうことはありません。
なぜそんなに時間がかかるのか
それでは、なぜそんなに時間がかるのでしょうか。
次の要因が挙げられます。
環境による要因 |
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発話者による要因 |
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ライターによる要因 |
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少しでも時間がかからないようにするためには、これらの要因に対策していきましょう。
それでは、スピードアップの秘訣をご紹介いたします。
7つの秘訣でスピードアップ
文字起こし(テープ起こし)を少しでもスピードアップさせるための7つの秘訣をご紹介します。
在宅で文字起こしの仕事をする場合、報酬は出来高制です。同じ原稿なら、5時間で仕上げても10時間で仕上げても報酬は同じです。やはり少しでもスピードアップしていきたいところです。しかし、品質の悪い原稿は論外です。
こちらでは、品質を保ったまま少しでも速いスピードで仕上げる秘訣をお伝えいたします。
秘訣1. 録音に配慮する
文字起こしの仕事は録音から始まっています。録音音声の良し悪しは、文字起こしのスピードを大きく左右します。クリアな音声であればスラスラと文字に起こせますが、聞き取れない音声は何度も聞き直しが必要で、なかなか作業がはかどりません。
次のことに配慮してみましょう。
- 録音機器は発話者の近くに置く
- 録音中は録音機器に触れない
- 録音機器はエアコンなど運転音のするものから遠くに置く
- 窓を閉める
- インタビューなどは静かな環境を用意する
秘訣2. フットスイッチを使う
フットスイッチとは、音声の再生・停止・巻き戻し・早送りを、足で行えるスイッチです。タイピング中に再生や停止のためにマウスに持ち替えるのは非効率です。フットスイッチを使用して、両手はタイピングに集中させましょう。
文字起こしに使用しやすいフットスイッチを探すなら、「フットスイッチ USB」で検索するなど、 パソコンにUSB接続できるタイプを探しましょう。1万円前後で購入できるはずです。ただし、音楽用のフットスイッチではパソコンに接続できないこともあるため、USB接続できるタイプを選びましょう。
フットスイッチは、文字起こしのスピードアップ、効率アップのために欠かせないアイテムです。
秘訣3. 音声ソフトを使う
音声ソフトを使うと、音量を増幅して聞けるようになります。聞き取りにくい小さい声を文字に起こすのは時間がかかる作業です。音声ソフトを使い、音量を増幅して聞くのがよいでしょう。
音声ソフトを選ぶ際には、前述のフットスイッチで操作できる音声ソフトを選びましょう。
また、パソコンに外付けするアクティブスピーカーを使用するのもおすすめです。音量を大きくできます。
音声ソフトを選ぶなら次の条件を満たすものがおすすめです。
- フットスイッチで操作できる
- 「ちょっと戻り」機能がある
- 音声のタイムのコピーができる
「ちょっと戻り」とは、音声を停止してまた再生するときに、数秒戻ったとこから再生される機能です。効率的に文字起こしをするならこの機能は必須です。戻る秒数は2〜3秒に設定する人が多いようです。
また、音声タイムも、「00:00:00」などをいちいち手入力するのは手間がかかります。誤入力の心配もあるでしょう。音声タイムのコピー機能があるものを選びましょう。
秘訣4. モニターヘッドホン(スタジオヘッドホン)を使う
文字起こしをスピードアップさせるためにはヘッドホンにもこだわりましょう。文字起こしにはモニターヘッドホン(スタジオヘッドホン)がおすすめです。
音楽鑑賞用のヘッドホンは、音を立体的に感じさせたり、心地よく聞かせたりするために、特定の音域を強調してあるため、文字起こしには不向きでしょう。
モニターヘッドホンであれば、全音域を平均的に聞けるように作られているため、文字起こしに最適です。特に、密閉型で周囲の音を遮断するタイプがおすすめです。
ただし、密閉型のモニターヘッドホンを長時間使用するの場合、重さや蒸れを感じることもあるでしょう。
次のようにご自身に合った使い方を見つけてみてください。
- 聞き取りやすい音声は普通のイヤホンで聞き、聞き取りにくい音声はモニターヘッドホンで聞く
- 普通のイヤホンで文字を起こし、聞き直しの段階でモニターヘッドホンを使用する
モニターヘッドホンといっても種類が多過ぎて選べない!という方は、評価が定まっている定番商品を選ぶとよいでしょう。「モニターヘッドホン」でネット検索してみると、モニターヘッドホンの定番ともいわれる密閉型のスタジオモニターヘッドホンが見つかるでしょう。
秘訣5. 性能が良いキーボードを使う
安定的にスピーディーなタイピングをするため、キーボードも性能が良いものを選びましょう。
- 反応が悪いキーがない
- タッチが良い
- 机の上で安定している
少し値段が高くても、快適に作業できるキーボードを使用しましょう。
秘訣6. 専門分野の調査を怠らない
専門分野の用語がわからないと聞き取りが難しくなってしまいます。次に起こす音声データの分野について、資料を確認して勉強しておきましょう。特に、難しい専門用語をしっかり覚えておくと聞き取りやすくなるでしょう。
下調べに時間がかかったら、文字起こしが速くても結局は時間がかかっているのと同じじゃないですか?
そんなふうに考えるのはやめましょう。
文字起こしのやりがいの一つは、知識の吸収です。物知りになって得をしたと考え、研鑽を積みましょう。
「知らない言葉は聞き取れない」という定説もあります。日頃からさまざまな分野の話題に興味を持ち、語彙の引き出しを増やしておきましょう。
秘訣7. 表記の知識を身につける
文字に起こすときには、ただ単に音声を文字にすればよいというわけではありません。仕様や社内表記ルールに沿った正しい表記で文章化しなければならないでしょう。
慣れないうちは、一つひとつ確認しながらの作業となるため、時間がかかります。
たとえば、「宜しくお願い致します」は、正しくは「よろしくお願いします」です。
「宜」は常用漢字表には「よろしく」の読みがありません。そのためひらがな表記が正しいとされます。
また、「お願い致します」の「いたします」は補助動詞であるため、やはりひらがなで「お願いいたします」が正しいのです。
知識が身につくほど、確認作業も減り、作業スピードがアップするでしょう。
自動で文字起こしできるソフトやアプリもあるが…
自動で文字起こしできるソフトやアプリもあると聞きました。
よく使われているGoogleドキュメントにも、音声入力で文字起こしできる機能があります。
音声を聞きながらすべての言葉を文字に起こす作業は、労力と時間が必要です。そこで、Googleドキュメントを補助的に使用し、負担を減らすという方法もあります。
ただし、完璧な文字起こしは期待できないため、出来上がったテキストデータは、細かくチェックして修正する必要があるでしょう。
Googleドキュメントで文字を起こす
Googleドキュメントは、オフィスソフトの一つです。Googleドキュメントの機能のなかに、「音声入力をテキスト化する」機能があります。
Google Drive
↓
Googleドキュメント
↓
ツール
↓
音声入力
↓
マイクのアイコンをクリックする
↓
音声ファイルを再生する
↓
再生音声がテキスト化される
便利ですが、完璧ではないため、細かいチェックと修正は必要です。
【Googleドキュメントの使用が向いているのは…】
すべての文字をタイピングするのが負担だと感じる人
句読点や改行などを後から入れる作業が苦にならない人
修正をしっかり行える人
なるほど。
用途や向き不向きを考えて使用します。
効率を上げてスピードアップを目指そう
文字起こし(テープ起こし)の世界で、信頼を得てお仕事をいただくためには、なんといっても仕様に沿って丁寧に仕上げた原稿を納品することです。
最初のうちは、作業が進まず、自分の時間をどんどん削ることになってしまうかもしれません。割に合わないと感じることもあるかもしれません。しかし、知識量が増え、作業に慣れてくるにつれて、どんどんスピードは上がっていくものです。
まずは品質重視で、次にスピードアップを目指して、研さんを積みましょう。