「逐語録」の読み方を教えてください。
「ちくごろく」と読みます。
逐語録(ちくごろく)とは、音声の全てを忠実に文字にして記録した文章を指します。
「えー」などのフィラーワード(言い淀み)、笑い声、相づちなども文字にします。
文字起こしの用語では「逐語起こし」「素起こし」ともいわれる方法で起こした文章が逐語録です。
逐語録の書き方・作成方法・おすすめアプリ・フォーマットの例をご紹介いたします。
目次
逐語録(ちくごろく)とは:文字起こしの用語
逐語録とは、音声をそのまま文字に起こして記録した文章のことです。
逐語録の読み方は「ちくごろく」です。
逐語録を作成するための文字起こしの方法を「逐語起こし」「素起こし」といいます。
逐語起こしでは、「えー」「あのー」などという意味のない音声も忠実に文字にしなければなりません。
笑い声や相づちも文字にします。
逐語録はどのような用途で作成されるのですか?
逐語録は、調査記録など、音声をそのまま残す必要がある資料のために作成されます。
逐語録の用途とされるのは、法務資料や分析のための調査記録などです。
【逐語録の用途】
- 法務資料(裁判記録など)
- 市場調査
- カウンセリング
- 会話分析
逐語録では、「えー」「あのー」などのフィラーワード(言い淀み)や相づちも全て文字に起こします。
ただし、近くを通り過ぎたサイレンの音などは、聞こえていても文字にはしません。
逐語録で文字に起こすもの、起こさないものを確認しましょう。
【逐語録で文字に起こすもの】
発話・言い淀み・相づち・笑い声
【逐語録で文字に起こさないもの】
雷、工事音、サイレンなど、周囲の騒音
逐語録は、音声に忠実に、さらに表記ルールに基づいて文字に起こします。
専門用語も理解していないと難しいため、知識が必要です。
文字起こしの種類【逐語起こし・ケバ取り・整文】
文字起こしには、逐語起こしの他にも方法があるのですか?
はい。
文字起こしには「逐語起こし」「ケバ取り」「整文」の3つの種類があります。
【3種類の文字起こし】
- 逐語起こし・素起こし:音声を忠実に文字にする
- ケバ取り :不要語を削除・修正する
- 整文 :ケバ取りをしてさらに表現を整える
3種類の文字起こしの違いを例文で確認してみましょう。
【例文:逐語起こしとケバ取りと整文】
音声:「えーっと、あの、海外移住について、ご説明させていただきます」
↓
【逐語起こし】
えーっと、あの、海外移住について、ご説明させていただきます。
【ケバ取り】
海外移住について、ご説明させていただきます。
【整文】
海外移住についてご説明いたします。
【例文:逐語起こしとケバ取りと整文】
音声:「そうそう、必ず必要ですよ、修正は」
↓
【逐語起こし】
そうそう、必ず必要ですよ、修正は。
【ケバ取り】
必要ですよ、修正は。
【整文】
修正は必要です。
↑逐語起こしはそのまま、ケバ取りでは不要な言葉を削除、整文ではさらに表現を改善しています。
「必ず必要」とあったら、思わず修正してしまいそうです。
分かります。
しかし、明らかな間違いでも、逐語起こしではそのまま文字に起こします。
逐語録を作成する場合、明らかな間違いがある場合も、そのまま文字にします。
音声に忠実に、厳密に文字にするのが逐語録です。
逐語録の書き方・作成方法
逐語録の書き方、作成方法を教えてください。
逐語録は、逐語起こし(素起こし)という方法で文字起こしをして作成します。
逐語起こしでは、音声をそのまま文字にします。
逐語録は、音声をそのまま厳密に文字にして作成します。
ポイントは3つあります。
- フィラーワード(言い淀み)なども文字にする
- 聞き取れない部分にはタイムスタンプを記載する
- 誤表現もそのまま文字にする
詳しく確認していきましょう。
フィラーワードなども文字にする
「ケバ取り」や「整文」では、意味のない不要な言葉は削除します。
しかし、逐語起こし(素起こし)では、「えー、あのー」などのフィラーワード、相づち、笑い声も、削除せずに記録します。「えー」などの言い淀み、「うんうん」などの相づちも、そのまま文字にします。
笑い声であれば、「会場・(笑)」などと記載したり、誰が笑ったのかの記載まで求められたりすることもあるでしょう。
聞き取れない部分にはタイムスタンプを記載する
録音音声が不明瞭であったり、複数の音声が重なったりすると、聞き取れないことがあります。
聞き取れない場合には、タイムスタンプを記入します。
タイムスタンプとは、音声の経過時間を原稿に記載したものです。
「●●00:00:00」などの記載をします。
タイムスタンプの表記方法は、文字起こしの会社によって異なります。
逐語起こし(素起こし)は、音声に忠実であることが必要なため、推測で補える部分であっても、聞き取れないときにはタイムスタンプを表記します。
誤表現もそのまま文字にする
「整文」では、間違った表現は修正して文章にします。
逐語起こしでは、明らかに間違った表現であっても、音声をそのまま文字にします。
例文で確認しましょう。
【誤表現】
音声「私には食べれませんでした」(←らぬき言葉)
↓
【逐語起こし】
私には食べれませんでした。
【整文】
私には食べられませんでした。
【誤表現】
音声「一番最初にこちらをご説明いたします」(←重複)
↓
【逐語起こし】
一番最初にこちらをご説明いたします。
【整文】
最初にこちらをご説明いたします。
逐語録では、明らかな誤表現でもそのまま文字にします。
【アプリ】逐語録をアプリで作成
文字起こし原稿を作成する場合、全てを手作業で行うのは音声の5倍の時間がかかるともいわれています。
そこで、アプリを使い、自動で文字起こしをして、修正と仕上げを人の手で行うという方法を試してみましょう。
文字起こしのためのアプリを2つご紹介します。
- Googleドキュメント:無料で手軽
- AutoMemo :有料
Googleドキュメント:無料
自動文字起こしをまずは無料で試してみたいという場合には、Googleドキュメントがおすすめです。
Googleドキュメントの音声入力機能を使えば、手軽に文字起こしができます。
Googleアカウントがあればすぐに使えます。ただし、インターネットにつながっていることが前提です。
【Googleドキュメントの使い方】
- Googleドキュメントの画面を出す。
- ツール→音声入力を選択する。
- 左上のマイクのアイコンをクリックする。
- マイクのアイコンがオレンジになったら音声を流す。
- 音声が文字になって入力される。
Googleのアカウントがあればすぐにでも使えます。
まずは試してみましょう。
特徴 | 料金 | |
---|---|---|
Googleドキュメント (音声入力) | ・Google画面から手軽に使用できる ・文字変換の精度が期待以上 ・句読点は手入力する ・オフラインでは使用できない | 無料 |
AutoMemo:ボイスレコーダーで時短作成
AutoMemoは、録音した音声を自動で文字起こしできるAIツールです。
次の3つを連携して短時間で文字起こし原稿の作成ができます。
- webアプリ
- スマホアプリ
- AIボイスレコーダー
専用のAIボイスレコーダーがあることが大きな特徴です。
話者を自動で判別してくれるため、複数の会話を文字起こしするときに便利です。
特徴 | 料金 | |
---|---|---|
AutoMemo | ・専用のAIボイスレコーダー ・話者の判別が可能 ・アプリとボイスレコーダーが連携 ・テキストをタップして音声を再生できる ・専用のAIボイスレコーダー | ・お試しプラン:無料 ・月額プラン:1,480円/月 (月30時間) ・年額プラン:1万2,800円/年 (月30時間) ・100時間買い切り/14,000円 |
逐語録の分析方法:コード化・カテゴリ化
作成した逐語録の分析方法を教えてください。
分かりました。
逐語録を分析するためにはコード化が必要です。
逐語録を分析するための方法を簡単にご説明します。
【逐語録の分析方法】
逐語録を作成
↓
コード化
↓
カテゴリー化
↓
テーマを抽出
コード化について、次で簡単にご説明します。
逐語録のコード化
逐語録のコード化とは、逐語録を読み込んで、キーとなる概念をパターン化してコードとしてまとめていくことです。
逐語録の分析では、コード化が最初のステップです。
【逐語録のコード化の例】
逐語録
「SNSのいじめが原因で学校に行けなくなりました。
皆に無視されて、孤独でした。なぜこんな目に遭わされるのかわかりません」
↓
コード化
いじめの種類 :SNS
いじめの程度 :重度
いじめられた側の心理:孤独、困惑
例は簡易なコード化ですが、実際には、いじめの背景やいじめへの対応なども聞き取ってコード化します。
コード化したものをさらにカテゴリー化、テーマ化して分析することで、理解が深まり、新たな知見へとつながるでしょう。
逐語録のフォーマット
逐語録を作成するときのフォーマットは必要ですか?
はい。
フォーマットがあれば、逐語録の活用がスムーズになります。
一般的な逐語録のフォーマットは、次の項目を用意しておくとよいでしょう。
【逐語録フォーマットの内容】
発話者 | ・氏名
・性別 ・年齢 ・役割 ・仕事内容 |
発話内容 | ・逐語録 |
感情 | ・発話者の感情 |
動作 | ・発話者の動作 |
メモ | ・発話に関するメモ |
上記の内容を盛り込むと、次のようなフォーマットが作成できます。
【逐語録フォーマットの例】
発話者 | Aさん ・24歳 ・開発エンジニア ・〇〇の開発Bさん ・37歳 ・インタビュアー ・インタビュー記事作成 | ||||
発話内容(逐語録) | 表情 | 動作 | メモ | ||
1 | Aさん | ||||
2 | Bさん | ||||
3 | Aさん | ||||
4 | Bさん |
フォーマットは、逐語録の用途によって違います。
ご紹介したのは、一般的なインタビューのフォーマットです。
用途に合わせて、フォーマットを用意しましょう。
逐語録を用途に合わせて活用しよう
逐語録(ちくごろく)は、音声をそのまま正確に記録した文章です。
不要な語や適切ではない表現も、そのまま文字にします。
そのまま文字にするのなら簡単かというと、そんなことはありません。
厳密に文字にしていく作業は、労力も時間も必要です。
ご紹介したアプリなどを活用して、効率的に作成していくのが主流となりつつあります。
文字起こしには、「逐語起こし」「ケバ取り」「整文」の3種類の起こし方があります。
逐語録は「逐語起こし」によって文字にした記録のことです。裁判の記録や情報分析用の資料などに用いられます。
用途に合わせ、逐語録を活用しましょう。
逐語起こし(素起こし)について詳しく解説した記事もご覧ください。↓